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タカシさんに 贈る
世界でたった一冊の絵本
お誕生日おめでとう。
愛する奥さんからの
特別なプレゼントです!
2016年7月15日
紀子 より |
余白部分には思い思いのメッセージを書くと更に思い出深いものになります。 |
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久保田 敬さんにしあわせの花がたくさん咲きますように
しあわせのタネ
絵 大久保厚子 文 松塚しのぶ
クリエイト・ア・ブック |
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とても気持ちのいい日曜日。
タカシさんが
ひらつかの公園で休んでいると、
何かが落ちてきました。それは、ふしぎな形をしていました。
「…なんだろう…」 |
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「…なにかのタネかなあ…」タカシさんは、
それをポケットに入れました。
それからなのです、
いろいろなことが
起こりはじめたのは…。 |
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ある日、散歩をしていると、
いろいろな声が聞こえてきたのです。タカシさんが誰かとすれ違うたびに。
「…つかれたな…」
「…会いたいな…」
「…あやまらなくちゃ…」
それは通り過ぎた人たちの
心の声でした。 |
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いつも見かける女性と犬にすれ違うと、
「…こんにちは…」
ふしぎな声が聞こえたのです。「…え、もしかして、犬の声?…」
タカシさんは驚いて
「いま、何か言った?」
犬に話しかけました。
「よくしゃべるのよ」
女性は楽しそうに笑いました。
そして、
「…きっと動物が好きなのね…」
女性の心の声が聞こえました。
ポケットの中で、
タネはふんわりと光っていました。 |
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タカシさんは、
タネがポケットに入っていると
動物たちの声も聞こえることに
気づきはじめました。どこかで何かが歌っている。
誰かがしゃべっている。 |
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タカシさんはつぶやきました。「…まさか、猫たちや風、
木の葉や花や鳥たちと話ができるなんて…」
タネのふしぎなチカラを感じながら。 |
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ある日、散歩していると、
女性がベンチに座っていました。「…つらいな、つらいな…」
タカシさんが聞いたのは、
心の声でした。
「…ママ、元気になって…」
犬の声も聞こえました。
タネを持ってから、喜び、悲しみ、苦しみ、
心の声が聞こえるようになっていたのです。 |
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タカシさんは
鳥や風や猫たちに
たずねました。何かできることはないかと。
ポケットのタネを握りしめながら。 |
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すると風はやさしくあたりを包み、
鳥は楽しい歌をさえずりました。猫も足下に静かに寄り添い、
頬ずりをしたのです。
タカシさんは
まわりの空気が温かく変わっていることに
気づきました。 |
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「こんにちは、いいお天気ですね」
タカシさんは話しかけました。「あら、ほんと、今気づいたわ。いいお天気。」
女性は空を見上げながら言いました。
そして、心の声が聞こえてきました。
「…ふしぎ。
とても元気になったわ。ありがとう…」
「…ありがとう…」
寄り添っている犬の声も聞こえました。
いつしか女性に微笑みがかえり、
タカシさんの心も
温かくなっていました。 |
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タネを持ってからタカシさんは
今まで気づかなかったことに
気づき始めました。笑顔になると
笑顔の輪がひろがること。
いつも笑顔でいると、
幸せな気分になって
前向きになれること。 |
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タネがあると、
楽しい思いつきも、次々と浮かびます。「そうだ、手づくりメニューで
おじいちゃんや、おばあちゃんや、おばさんを
おもてなししよう。
いっしょに食べるだけでうれしくなるから」
おいしいものは、幸せのタネ。 |
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寒い日はみんなに
温かい紅茶をいれてあげよう。
暖まるだけで、笑顔になるから。湯気は、幸せのタネ。
暑い日はみんなに氷を入れて
ジュースを作ってあげよう。
冷たいだけで、ふーっとほどける。
ガラスのしずくは、幸せのタネ。
タカシさんはつぶやきました。
「…みんなの笑顔にありがとう…」 |
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タカシさんは
タネを持ってから、いままでより自分が
「ありがとう」を
たくさん言っていると感じていました。
気づくと歌を口ずさんでいて、
心が軽くなっていることも。 |
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「…ふしぎなことはぜんぶ、このタネのおかげ…」そう思いながら、
タネをさわろうとしましたが
どこにもありません。
タカシさんは
胸に手を当てながら、つぶやきました。
「もうあのタネはいらない。だってここにあるから」 |
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幸せのタネは、夢のタネ。
みんなの心の中にあります。嬉しいことや楽しいことが降り注いで、
素敵な花を咲かせます。
タカシさんは、いま40歳。
タカシさんにこれからも
もっともっと幸せなことが起こりますように。 |
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